日大アメフト部と企業のパワハラという相似形
先週、日大アメフト部の報道をずっと追いかけていました。
22日、当該学生による記者会見には、数年前には大学生の親だったこともあり、胸を締め付けられるような思いでした。
「なぜ日大は、誰一人としてこの学生を守らないんだろう?」
学生なんだもの、間違いはある。そこから社会人になる過程の成長をどう見守るか。大学はそのためにあるのではないか。そんな疑問を持って会見を見ていましたが、それは期待できないことはすぐにわかりました。
学生を守らない大学
日大アメフト選手の陳述書全文 : トピックス : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
「やる気があるのかないのかわからないので、そういう奴は試合に出さない。辞めていい」
「お前が変わらない限り、練習にも試合にも出さない」
「日本代表に行っちゃだめだよ」
監督に理由を確認することはとてもできず…
(上記陳述書より抜粋)
この部分だけで、すぐにパワハラだとわかりました。日常どれくらいのストレスにさらされているかにもよりますが、思いつめるあまり正常な思考ができなくなる可能性はあります。
自分に思い当たることが無いのにその説明は無く、日本代表の座も、試合への出場も、練習へ出ることすら取り上げられる(干される)。
問題のラフプレイが、通常考えられない類のものであることから、当該選手は自発的にはまずやらない(やることにメリットがない)。行動するように仕向けられた、せざるを得ない状況に追い込まれたのだと思われます。
恐怖心で人間を縛るチーム上層部には、選手を守る意識なんてないだろうなと思っていたら案の定でした。
私は、当該選手に責任がないと言いたいのではありません。
彼は名前と顔を出した上で、謝罪と経緯の説明を行いました。それは責任の一端をすでに果たしたとも言えます。あとは捜査の結果を見守ります。
企業でもパワハラ
さて。
23日の元監督とコーチの会見を見た夫が、「まるでウチの管理職みたいだ」とひとこと。
休職に至った経緯は私も聞いていますが、まあ理不尽としか言いようがありません。そう、パワハラはどこの職場でも起こる可能性がります。 fukulife.hatenablog.com
夫の場合で言えば、年俸制と在宅勤務、出社・退勤時間を前後にずらすことなどの働き方は、日本的な評価の下ではうまく機能しません。
日本的な評価とは一例を挙げると、
- みんなが残業しているから、仕事が終わっても帰りにくい
- 能力が低くても、残業している方が評価される
- 在宅勤務=仕事をさぼっている。本当に仕事をしているかどうかわからない
というものです。
ウチの場合はそういう状況に、「これ以上付き合えない」と判断して、ストレス元から離れました。
パワハラで部員、部下を傷つけて使い捨てることに、組織として何の意味があるんでしょう。組織の維持のため、残業しまくれ?不法行為をさせてトカゲのしっぽ切り?とてもじゃないけれど、お付き合いできません。
昭和のやり方オンリーではもう通用しない
おそらく、日大フェニックスのチーム運営方法は、それまでの伝統に倣ったものでしょう。強いチームを作るやり方を知っている、今までもそうだった。憶測にすぎませんが、「これまで通りのやり方をしたまで。何か問題でも?」くらいの意識だったかもしれません。
強豪チーム=有名校になる=入学希望者が集まる
と言うのは学校経営には欠かせないのでしょうが、今回の日大のケースでは、教育機関であるというよりは、どうも経済優先ばかりが目につきます。
一方で、豊かな精神性を育もうという視点を持つ大学があるということに、救われる思いがしました。
(関学ファイターズは試合前に、聖書の祈りとともにカール・ディエムの詩の朗読をするそうです。ググってみて)
今回の報道を見ると、より柔軟に社会の変化に付いて行ける組織が生き残るだろうと言う印象がより強く残りました。
「これしかない」は弱い。足元を見られる
理不尽な扱いで来るものと言えば、残業だけではありません。製品データ偽造、粉飾決算、食品偽装etcetc
毎月毎月きちんと支払われる給与と、社会保険は大変ありがたいものです。それでも、収入を会社だけに依存するのは危険です。言い過ぎ?
ある程度の貯蓄、他社でも通用する職歴。副業禁止もあるでしょうが、収入に結び付きそうな何か。
どう考えても会社の方針に納得がいかないのなら、交渉してみる。交渉ができないなら、転職する。
どうしても留まらなくてはいけない理由があるのかもしれませんが、
留まる=会社の意見に従うことを認める
は今後、意識しておいた方が良さそう。社会人になった子どもたちにも伝えておこうと思います。