「働くと損?」年金世代の母が遺族年金を誤解していた件
一昨年実家の父が亡くなったので、母は遺族厚生年金の受給者です。
亡くなる前、父が家族にあれこれ手続きを指示しだした頃あたりだったと思うんですが、遺族年金の概算を出したら、母がものすごく安心したようでした。
(年齢によって細かい規定があるので、あくまで概算です)
その後、正式に年金事務所で手続きをして金額が確定した時、結構近い数字だったらしく、ワタクシの株もちょっと上がったようです。
働いた分が減らされるなら、働くと損なの?
両親のケースだと、会社員だった父母ともに厚生年金。ただ、母の場合は専業主婦の期間のあとの就職だったので、期間は20年くらいだと思います。
3号被保険者制度がスタートした時(昭和61年4月 1986年)にはもう会社員だったのですが、それまでは保険料を払って任意加入していたと聞いています。
年金機構のHPにちょうどいい図があったので見てみます。
母の場合もちょうどこれで、自分の年金に父の遺族厚生年金が丸々足されるわけではなくて、母の老齢厚生年金の分だけ遺族年金から引かれてしまいます。
「自分が働いた分の厚生年金が引かれる」なら、働かずに専業主婦だった人の方がトクなんじゃないの?
と母は言うわけです。気持ちはわかるんだけど、制度でそう決まっているのでここは変えられないんだよ~
母の誤解
さて、ここで注目したいのが、妻自身の老齢基礎年金。
昭和34年(1959年)制定の国民年金法では、仕事を持たない主婦や学生は任意加入でした。つまり、保険料を払っても払わなくても良かったんです。
現在50代半ばのワタクシや夫も、学生時代は加入していませんでした(学生の強制加入は平成3年(1991年)4月から)。
母親世代の主婦たちも、果たしてどれだけの人が加入していたでしょうか?
母は途中から会社員になり厚生年金に加入したので、その部分は年金加入期間にカウントされます。つまり、基礎年金部分も確保されます。
ではそれ以前は?
母の場合で言うと、↑上記のように任意で保険料を払っていたので、満額ではないにしろ、満額に近い額の基礎年金があると思われます。
10月6日追記:
電話では詳細がわからず、実家へ行ったときに明細を見せてもらいました。
母の老齢基礎年金には振替加算額というものが加算されていて、それを合わせてやっと満額近くになったようです。
母の場合も、だいぶ未加入期間がありました。
全期間任意加入出来た人って、どれくらいいたんでしょうね?(追記ここまで)
母と同じ年齢の人が、任意加入期間に保険料を支払わず、その後は3号期間のみだとすると、保険料を納めたとみなされる期間は全体(加入期間40年)の3割ほどになります。
令和元年度の老齢基礎年金は満額で 780,100円
その3割だと 234,030円
もういちどさっきの図です。
働いていた人も、ずっと専業主婦だった人も、右側の遺族厚生年金部分は同じ(金額は夫の厚生年金の額によって異なる)。たしかに、自分の厚生年金部分に相当する分停止(引かれる)のは損した気分です。
ただ、
基礎年金部分で50万円以上の差が出ます。
ここが満額なのは、全体の7割にあたる期間中ずっと保険料を払い続けた人。
母はここを、「基礎年金部分は”基礎”って言うくらいだから、誰もが同じ金額をもらえるものなんじゃないの?」
と思い込んでいたそうです。それじゃー任意加入していた人が怒りますって!
妻の基礎年金部分は盲点
夫婦ともに65歳になって、夫婦で満額の年金を受け取るようになると、不足はあるかもしれませんが、終身で生活費に充てることができます。
問題なのは、夫に先立たれて妻が残されたとき。
会社員は「年金3階建て」と言われて恵まれてはいるのですが、全部が遺族年金の対象になるわけではありません。
企業年金は、大概本人が亡くなれば支給はおしまい。
定年まで勤めあげて40年間に近い加入期間のある、夫の基礎年金部分も支給されなくなります。
妻の基礎年金部分はなるべく充実させておきたいところですが、夫の年金収入が多いほど意識しにくいのかもしれません。
年金受給前なら、加入期間が40年に満たない時、60歳以降の任意加入も可能です。私も学生時代の分の期間が足りないので、加入を考えています。