空の見える窓から

50代、主婦。ミニマリストになりたい。

老後資産2,000万円必要?報告書は随分誤解されているみたい

なんか大騒ぎになっている、金融審議会ワーキング・グループの報告書。

www.fsa.go.jp

 

「もう年金は破綻している」「今まで払った分を返せ」とか猛烈な反応がでているみたいですね。

 

現時点で年金制度は破綻していませんし、仮に今まで払った分が返って来るとしても、私が知る限り返されちゃう方がデメリットは大きいんだけどなあ。

 

遺族年金や障害年金の機能と、金額は減っていくにしても終身(生きている間はずっと)支給される金融商品って、民間にはないよね?公的年金ならではの制度だと思うんだけど。

おまけに基礎年金部分の半分は国が負担。

 

報告書読んだ?

 

だいたい、報告書の中にもこう書いてあるし。太字部分はbyワタクシ。

前述のとおり、夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では
毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。

 

生活レベルや家族構成や住んでいる地域や健康状態とか、家庭の数だけ収入も違えば支出も違う。当然です。

 

知り合いの60代に聞いてみると、「家があったら月25万も使わないかなあ」という意見もちらほら。 

自分が毎月いくら使っているか、もしかしてみんな知らないの?それとも、たとえば月40万円とかないと無理なレベル?

 

「10年先ですらわからないし、もっと遠い老後の生活なんて想像できない」と言うのはもっともなこと。でもさー、わからないから政治家におんぶにだっこでいいの?

 

自分や家族の年齢を横軸に、収支や資産額を縦軸に置いていくと、自分だけの試算額推移のイメージができます。

 

↓ こういうの。これは報告書の中の図表。

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突然出てきた話じゃない

 

そもそも、私が知っているだけでも10年くらい前から、

「老後に3,000万円必要」「いや5,000万円ないと」「100万円もあれば十分」など、いろいろな媒体でいろいろな試算が されてました。

 

国民年金は、元々自営業者は商売をして生計を立てつつ、それを補うという目的だったし、

サラリーマンなら厚生年金と退職金でなんとか、退職金が当てにできない場合は、自分でどうにかするもの

であって、元々フルに老後の生活費をカバーするものでもなかったんですけどねえ(もちろん、企業年金やら手厚い退職金で心配ない人もいたけれど)。

 

 たとえばこういう記事

 

公的年金を運営している国の機関自らバンザイ(お手上げ)した」と言うなら、これはどうなん?

なんとかなると思っていませんか 長い老後の生活資金 ─人生100年のライフプランを考えよう─|知るぽると

↑中央官庁によるものではないですけどね。元になる統計や計算方法は違いますが、似たような不足額が上がっています。

2017年秋の刊行物に掲載された記事のようです。

 

ちなみに金融広報中央委員会は、政府、自治体、民間金融機関、報道関係者など幅広い団体、学識経験者から構成されており、中立・公正な立場で活動しているということです。

 

老後の生活をどう考えるかっていうのは、あちこちで言及はされてます。

 

世代別の留意点も

等々、個人が資産形成をする環境はそれまでと比べて格段に整備されてきたと言ってもいいでしょう。

 

今回の報告書は 金融庁だけあって、老後資産の形成に投資を活用する方向にはなっています。

また現役期、リタイヤ期前後、高齢期にわけて資産形成、資産管理の留意点もまとめられていて、パッと見文字数が多くてとっつきにくいですが、親切な造りになっています。

 

 

 

国会でのやり取りはなんでああなるのかがわからない

 

そういうわけで、野党があんなに突き上げたり、「この報告書は受け取れない」と大臣が言ったりしているのは、わけがわからない。選挙前だから?

 

突き上げるなら、お金に関する教育とか、資産形成のための啓発とかをどうして今までしてこなかったのか、これからどうするのか、そっちじゃないの?

 

2,000万円ばっかりクローズアップされているけれど、長く生きていくうえでは仕事へのスタンスや、いかに健康を維持していくか、認知症になる前にどういう手を打つかなど、これまでの考え方を変えていかなくてはいけない点もけっこうありそう。

そこに言及している人はあまりいないんじゃない?

 

というわけで、今回、この報告書に対する言動で各方面の姿勢が見えてくるんじゃないかと思っています。

 

いずれにせよ、これをきっかけに金融機関のセミナーだのセールスが活発になりそうなので、自分に合わない金融商品を購入しないように注意しましょうね。