空の見える窓から

50代、主婦。ミニマリストになりたい。

これも形見分け

一般に、形見分けと言うのは四十九日前後に行うらしいのですが、年明け、母の顔を見に行った時に、

 

「もうあらかたの手続きは終わったし、あんた達にひとつずつあげるわ」

 

と言って、父の印章をもらいました。むかーしむかしの象牙製のものです。

 

「気に入らなければ、印面を削って彫りなおすこともできるから」

 

と言うことでしたが、私の旧姓は珍しい方で、認印なども注文しないとありません。文房具屋さんなどにあるハンコタワーの中にはない苗字です。

 

結婚前に使っていた旧姓の認印はしまい込んだのか手元にはないし、いい記念だからと一本もらっておきました。

 

父の持ち物にはそう高価なものはなさそうなので、兄弟の間でケンカになりようもありません。

 

祖父が亡くなったときに、田舎のことなので四男だった父は相続放棄をしたのですが、せめてもの形見にと祖父が愛用していたキセルをもらったそうです。

 

キセルと言っても、時代劇で見るような長いものではなくて、フィルターのない紙巻きたばこに使う、鉛筆キャップくらいの短いものでしたけれど。

 

亡くなった人を偲ぶには、ちっちゃいもので十分です。