減らない借金・減らせる借金と増やせるお金
今読んでいる本。

いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学 (早川書房)
- 作者: センディルムッライナタン,エルダーシャフィール
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/07/31
- メディア: Kindle版
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アフィリエイトの手続きを放置。これも「トンネルの外」になっちゃってる。
この中に面白いところがあったので、引用します。
インドのチェンナイにあるコヤンベドゥ市場は壮観だ。(中略)
典型的な露天商は朝におよそ1000ルピー(20ドル)の品を仕入れる。一日でおよそ1100ルピーを売り、100ルピー(2ドルあまり)の粗利益を得る。(中略)平均的な露天商は借りた金額に対して1日5%を払う。つまり、1日の終わりに100ルピーの粗利益の半分が金利の支払いに消える。
減らない借金
露天商は毎日1000ルピーを借りて、儲けの100ルピーのうち半分の50ルピーを生活費に、 残りの半分を金利に支払う。それを毎日繰り返すーーーというもの。
金利だけ払うと元金は増えないし減らない。毎日市場で働けば、50ルピーの借り賃(金利)で50ルピー儲けることができる。
減らせる借金
ほぼすべての露天商は家計にほんの少しスラック(注:ゆとりのこと)がある。切り詰めることができる部分だ。(中略)(ちょっとしたおやつのような)品物に毎日5ルピー使う代わりに、その5ルピーを商品の仕入れに使うとしよう。そうすれば彼女が借りるお金は毎日5ルピー減る。
ちょっとだけ我慢して、その分仕入れに回すとどうなるか。借金が無くなるのにかかる日数はどれくらい?1000÷5で、200日?
実際には50日しかかからない。これが複利の力だ(とくに金利が高い時は大きい)。
今までは生活費と利息の支払いが50:50だったのを、5ルピーを仕入れに回すことにするから、45:55にするってことですね。
それだと、毎日元金が減っていって、仕入れに回るお金は初日の5ルピーからだんだん増えていきます。
Excel でやればあっという間ですが、50日分ゴリゴリ計算してみました。電卓で小数点以下4位で四捨五入しています。
1日目に借りるのは 995ルピーとすると、
10日目に借りるのは 937.1106ルピー
20日目に借りるのは 834.6748ルピー
30日目に借りるのは 667.8130ルピー
40日目に借りるのは 396.0131ルピー
50日目に借りるのは 5.4090ルピー
50日目に元金と金利を払うと、残りは49.3205ルピー。他に仕入れ用の1000ルピーが手元に残ります。すごい!借金生活脱出です。
借金ゼロで商売を続けると…
さて、50日間頑張って借金が無くなりました。今までちょっとしたおやつを我慢してきましたが、これくらいのご褒美はアリ!生活費を45ルピーから50ルピーに戻すことにします。
今後は、仕入れ資金1000ルピーに、粗利から生活費を引いた残りを毎日仕入れ資金に追加していきます。
さて、1か月後どうなったでしょう?
なんと、仕入れ資金は8431.546ルピーになっていました。もちろん、Excelでパパッと計算したので、実際はお店が大きくなったり、人を雇ったりしてここまで金額が大きくならないかもしれません。
それにしても、「複利の力」を知ったうえで、地道にコツコツ働くことってすごいですね。毎日働いているのはみんな同じ。毎日、それもたった50日間、おやつ代を仕入れに回すかどうかの違いです。
実験で借金がナシに!コヤンベドゥの露天商はその後どうなったのか?
調査対象となった露天商の半分に借金を肩代わりして、その後を追跡したそうです。意外なことに、数か月から1年後までには全員、が再び借金をするようになっていたということです。
露天商たちは、借金の危険性をわかっていたにもかかわらず。
この結果については、「なるほどなあ」と思いました。まだ途中ですが、そのうちまとめてみたいと思います。つづきが気になる方は、電子書籍ならすぐ入手できそうです。紙の本が欲しかったのですが、入荷待ちでした。