救急車に乗って一緒に帰ろう
今日、父の顔を見に病院へ行ってきました。
その前に、入院証明書の引換証を取りに実家へ寄ったのですが、電動座椅子も介護用ベッドも引き上げられていました。
がらんとしたリビング。
家庭用の介護用ベッドは、コンパクトな病院用と違って駆動部分がゴツく、かさ張っていたため余計にそう思ったのかもしれません。
父に声をかけると、すぐに目を開けました。背中に丸めた布団が当てられ、床ずれ防止で体を少し傾けて寝ていました。
点滴が落ちないで止まっているのを、「看護師さんがチェックしに来ない」と文句を言っていました(笑)が、よく見ていると、ずっと止まっているわけではなく、思い出したようにポトリポトリと落ちてはしばらく止まるのを繰り返しています。
本当はもう体が受け付けないなら、点滴もいらないかもしれないのですが、本人がそれで治療を受けている気になっているようなので、そのまま何も言わずに置きました。
少し話しては、スーッと目を閉じてうつらうつらと眠り、眠っていたかと思えば目を開けて、「昨日は〇〇先生が来て、『お昼ごはん食べませんか?』って聞かれた。もう『食べられない』って言ったけど」など、思い出したように話し出します。
ゆっくりゆっくりだけれども、しっかり話はできる。寒いというので、肩口を覆い、足先を布団でくるむようにしました。
「熱は無いねえ」と額に手を当てると「あったかい手だなあ」。
前に来た時も、足が冷たかったので手で温めたら、「わ!」と驚いていました。不快そうではないので、軽いマッサージは喜びそうです。
「今度の日曜、子供たちとくるからね」
「もうその時には、家に戻っているよ」
・・・・・
1時間ほど、そうやってぽつぽつ話をして過ごしました。
「もう、バスが来るから帰るね」
「なあ、救急車に乗って、一緒に帰ろう」
「私は元気だから、きっと乗せてもらえないよ」「また来るから」
「気を付けてお帰り」
今日、母は自分の通院や、ケアマネさんとの打ち合わせがあるので来れませんでした。もしかしたら、弟や私たちが行く土日は行かないかもしれません。
父の「家に帰りたい」をかなえてあげられないのが、心苦しいのだと思います。