父が癇癪を起こす理由
私や弟の前では滅多に大声を出したり、怒ったりすることがない父ですが、靴に関してはすぐ感情的になります。
何が何でも歩くことにこだわるのかと思えば、歩ける時でも車椅子にさっさと乗ったり(立ち上がることは困難だが、立ち上がってさえしまえば歩ける)。まあ、入院中は杖の使用が禁止されていることもあるんですが。
禁止されていると言えば、病院や介護施設ではスリッパやサンダルは使用禁止のことが多いです。足元がふらつくので、安全面からは当然のルールです。現に、タクシーの乗り降りでさえ、サンダルでは脱げてしまいましたから。
なのですが。
「人の手を借りずに履けるもの」で、サンダル状のもの以外を探すとなるとこれがなかなか難しい。軽くて面ファスナーで脱げないように固定する靴ならいくらでもあるんですが、もう面ファスナーをべりッとはがすだけの指の力もありません。
ショッピングセンターの靴屋さんで、外出用に大きめサイズの面ファスナー付きのスニーカーを一足確保。
最初、サイズを上げてピッタリのサイズにしましたが、断固拒否されました。「施設に掛け合って、サンダル履きを許可してもらう!」とエライ勢い。
父は、ショートステイに行った後、施設に対する抵抗感はかなり少なくなったところがありました。お風呂ではふんだんにお湯が使えたようですし、食事も家で食べるものとはまた違ったものが出されます。
なにより、デイサービスだと歩行訓練が受けられることにすごく興味を持ったようなのです(ショートステイだと集団での軽い体操など)。
だから行きたくないわけではなくて、靴がダメ。こうなると、母がいくら「施設でも病院でも、サンダルはダメなんだよ」と言っても聞きません。注意事項を書いた書類を見せてもダメ。
そこで、更に大きなサイズのものと交換。
足が靴の中で泳いでいますが、面ファスナーで調節すれば、甲がすっぽり覆われるので脱げることはありません。また、むくんでいる足を締め付けることもナシ。
それでもまだ拒否。「これだと一人で履けない」
「お父さん、これでないとリハビリさせてもらえないんだよ。この間の入院の時も、タクシーでサンダル脱げたから危ないでしょ?家から出る時はお母さんに履かせてもらえるし、帰りは施設の人がちゃんと履かせてくれるから、大丈夫だよ」
「一人で履けないと、トイレにすぐ行けない」
ここまで来て、何で父がここまで嫌がったのかやっとわかりました。デイサービスに行くのはイヤじゃないし、訓練も受けたい。でも、それ以外はベッドで寝ている時間が長いから、ただでさえ起き上がるのに時間がかかるのに、靴がサッと履けなければトイレに間に合わない。
本人はもうずっと紙おむつを付けていますが、今のところ寝たままで交換してもらっているわけではありません(大量に出すぎて、トイレで立ち往生することはあっても)。
たぶん介護士さんも、看護師さんもおむつの交換なら仕事上「よくあること」で、むしろ転倒の方が怖いでしょう。
でも父の意識の上では、とにかく自分の意思でトイレに行きたい。だから、すぐ履けるサンダルがいい。
とりあえずその場は、ベッド→トイレの場合はサンダルにできないか聞いてみようということで気持ちを納めてもらいました。でも、本当は靴がいいわけで。
で、ネットで探してみると、あるもんです。父が使いやすいか、サイズが合うかわかりませんが、今日中には届きそうなので、試してもらう予定です。
介護用品のあれこれなら、ケアマネさんなどに聞けば教えてもらえるのでしょうが、こういった細かいものまでは、いちいち問い合わせるのも間に合わないことがあります。やはりネット経由で探し出せる場合も多いので、若い人ができる高齢者のサポートはたくさんあると思いました。